「竜田姫」というのは、奈良から河内に抜ける途中、生駒山の最南端にある竜田山を神格化した女神である。奈良の都の西に当たることから、秋を掌る神と見なされたり、風の神として崇敬された。また竜田山はもみぢの名所として知られた歌枕であったから、もみぢと聞けば、古人はすぐに竜田山や竜田姫を連想するのが常であった。
その竜田姫が秋の神に幣を手向けるため、もみぢを散らしていると理解している。ここでは竜田姫は秋の神ではなく、秋の神を祀る神として理解されているわけである。