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それからまた数日後、やっぱり同じ夢を見た。
廊下の端に立って反対側の端を向いている自分。視線の先には黒いモヤモヤした影。
「追いかけられる」という直感。また階段へ走り出す。
まったく同じ展開なのに、そのときもこれが夢だとは気づかなかった。
勝手に動く身体と思考に自分で疑いすら抱かない感じ。
同じように必死で階段を駆け下りて1階まで降りたとき、案の定というか、そいつが2階まで来ていると直感した。
そして目が覚めた。

確実に近づいてきていると理解して、「これ、次は追い付かれるよなぁ」とか「捕まったらどうなるんだろうなぁ」とか考えて漠然と不安になった。