恐ろしいのは、Q、G、P、ヘッドショット野郎、モンハンオタク含めて7クラスのそういった連中がお互いに仲間意識を持ち、最終的にそのままコミュニティを作ってしまったことだった。
全部で10人ほどいたと記憶しているが、下校時などは大概このメンバーで賑やかに過ごしていた。
クラス内で爪弾きにされていても、このコミュニティには居場所がある。それを自覚したのか、連中はどいつも自信に溢れた感じで本当に楽しそうだった。
時折イケてる系の人達から面と向かって悪口を言われることもあったが、これまで言われるがままに縮こまっていたのが嘘のように毒や嫌味を吐き返すようになった。
何でクラスに迷惑をかけたサボりの陰キャ共が、こんな勝者みたいな感じで振る舞っているんだと虫唾が走った。

Qはバックレ事件以降、親の拘束からも逃れたらしく、テスト期間中だろうが最新ゲームの話、それも発売初日に徹夜してラスボスまで倒したとかバカな話をしては仲間と盛り上がっていた。(放課後にそういう話をしているのを間近で聞いた)
Pは仲間達と付き合ううちに人が変わったように明るく、しかし何かと口汚い悪口を吐くようになり毒舌になってしまった。
Gは相変わらず浅はかで見識の無い言動を働いてはヘラヘラしていたが、一方で自分の親友や身内には異常に優しく気配りが上手いという一面が顕になり、仲間内に限っては評判は非常に良いようだった。
この3人は高校も違い、同窓会にも来ていなかったので中学卒業以降全く会っていないし、今はどこで何をしているのかもわからない。

自己肯定感を高める、自分の居場所があるというのは非常に重要なことだが、
こんな他人に迷惑をかけて手に入れた自信や、負に満ちた経緯で手に入れた居場所に何の意味があるというのだろうか。
努力も自己研鑽もせず、他人を不快にさせるしか取り柄のないような無能な連中が、それに気付かず過ごしていること、
こんな奴らが社会に出たらどんな不適合者になってしまうのかと思うと、洒落にならないほど怖かった。