俺のクラスには美術部の人や絵の上手い人が大勢(計10人程)いて、教室を使った出し物は画廊を作ろうという話で決定した。
あとはステージで行うパフォーマンスを決める段階になったのだが、これが中々に難儀した。
俺は当時エレクトーンを習っていたため、「何か映画音楽でも演奏しようか?」と提案して即決してもらった。
他に柔道部の男子が2人いて演舞を披露、女子の仲良し5人組がダンスを踊ってくれることになったが、
確実に優勝するためにはもう1、2つほどパフォーマンスのネタが欲しく、それが中々決まらなかった。
画廊という行儀のいい題材を出し物に選んだ分、パフォーマンスの方はビジュアル重視でウケが良いものを選びたい、でも何がある?

良いアイデアが浮かばないまま画廊の準備をしていたある日、クラスのリーダー格の奴が「お前らで悲愴感やればいいんじゃね?」と言い出した。
声をかけられたのは3人の男子、以下、Q、G、Pとする。

Q…帰宅部で自称ゲーマーだが、親が厳しいか何かで然程ゲームが出来ず、進行が遅すぎて周りがゲームの話をしていても話の輪に入れない。性格は典型的な厄介オタク。
G…絶望的なまでに空気が読めない。何をするにも間違った方ばかり引き当て、それを咎められると「ハズレを引く天才俺ww」と茶化しだす。
P…無口で喜怒哀楽が殆どない。何を考えているのか分からない。休み時間はもとより授業中も殆ど寝てばかりいる。

まぁ分かりやすいまでの「イケてない」奴らだった。
今風に喩えるなら「チー牛」もしくは「8月10日に某スタジオ前の住宅地に集合して騒いでる不潔でコミュ力も覇気も無い奴ら」を想像して頂ければ良い。