10年前くらい、首都圏の国立大学

「経済哲学」?だったか、とにかくマルクス主義について話す
時代遅れのつまらない授業で出席があるから出席はみんなするんだけど
受講生100人程度のほとんどが寝ていた

担当講師は若い男で、非常勤だった

2年生の俺はなんとか頑張って起きていたのだがちんぷんかんぷんで
とりあえず聞いてますアピールだけしてた

学期が半分も過ぎていない頃、
授業終わりに感想ペーパーを提出するために教卓の前に向かった
そのとき、この講師に呼び止められた

講師はメガネをかけた痩せたひょろっとした、
存在感が薄い男だった
名前はA先生としよう

小さい声で「君はいいねえ」とかニヤニヤ笑いながら言ってきた

「将来有望だよ。今から校内のカフェで個人授業してあげるよ」