堺屋太一の原作になる「峠の群像」は
大河ドラマで取り上げられた忠臣蔵モノでは最も優れた作品の一つ。
現代的視点に立って忠臣蔵を描いている。そういう書き方が流行る時代に上手く乗れた小説だった。
森村誠一の手になる忠臣蔵モノも悪くないが面白いドラマにはしずらいかも知れない。こじつけ気味な筆致が不評。
昭和64年の12時間超ワイドドラマ「大忠臣蔵」は高麗屋の演技が森村誠一の描く世界に
伝統的な忠臣蔵の香りを上手く調和させていて通俗化に成功していた。歌舞伎の功績とは言い過ぎか。
森村は討ち入りで吉良上野の首をあげることが赤穂浪士の最大最終な目的だったかのように描いているそうだが、そこはあの作家にしては浅い姿勢だと思われる。
元禄の頃は学問が盛んな時代だったが、ことごとくを歴史で思考する頭が作られていた。