古墳時代になると社会の仕組みが大きく変化し、それに伴って前期後半に玉の材質と色にも変化が起きます。碧玉・瑪瑙・水晶製勾玉の登場です。
 これらは島根県花仙山(かせんざん)で産出される緑色の碧玉、赤い瑪瑙、白・透明の水晶を素材として、出雲(島根県東部)系の玉作集団によって創造された玉であり、「勾玉=ヒスイ」「(石製の)玉=緑」いう弥生時代までの伝統・既成概念を打ち破った玉の意識改革が起こります。

 なかでも注目したいのが瑪瑙製勾玉であり、赤い玉は画期的と言えます。「赤」は血や太陽の色で、復活・再生を意味し、縄文時代以降の漆製品や赤色顔料(朱・ベンガラ)にも多用されていました。