著者の言葉
仏蘭スペインにおいては何人もマソン(メーソン)結社を口にする。フラン・マソン結社(フリーメイソン?)は彼らの日常会話の要素となっている。それにも関わらずこの結社ほどその正体を知られていないものは他にない。
つまりその結社の内幕、その結社の秘密は、多年の探究によって理解できるものであって、この結社に関心を持つほどの者は、いかめしくこの問題について正確でしかも献身的な根拠を持つ小冊子の出現を望んでいたと考えられる。今私はその人々の待望に応えようとするのである。
この書において私は問答体の形式をとり、質問する者の側にはあらゆる地位・身分の人々、ことさらにインテリ階級の人々を含め、その質問へ繰り返し説明していくうちにその答を与えるという策をとった。そうして私は、一般民衆に事の真相をはっきりしかも手っ取り早く了承させるためにもこの問答体が一番適当と考え、終始会話の性質を十分に生かし、簡単平明なものにしておいた。またある人々はマソン結社に関わる小冊子は学校の課外教科書になるようにしたいと希望している。そこで私は終始このことを念頭に置いて仕事を進めた。つまりマソン結社の側においては青少年を動かして自らの型へはめようとあやつっているのだ。我々はこの戦術に対抗するため、是非善処すべきである。
私はこの小冊子が不備なものであることを恥じる。ならび祖国への愛とフランス国民としての自覚をもって、この書を公にするのである。
J・トゥールマンタン