>>312
ううー、ううー、むおおーっていってるんですよ。
迫力がある。
これ違うなと思って。

「はい、カット」終わったんです。
そうしたら、もうその声もしないんです。
気になりましてね、行ってみたんですよ。
暗い闇の中。

たぶんこの辺りだったよなと思って。
撮影しているその場所からせいぜい50メートルかそんなもんなんですよね。
その辺りでしてるんですよ、確かに。
で、懐中電灯でこう、ふうーっと照らしてた。
と、スタッフが2人やってきたんですよ。

「こんな辺りでしたよね」って言うから、そうだよね。
もう落ち葉がふぁさっとね、もう降り積もっているんですよね。
しょうがないからこう、ぱっぱっと蹴ってたら、見るとね、何かスパッと切ったような、きれいな切り口の、この根っこのようなものが見えたので、なんだろうと思ってね、落ち葉の中へ手を突っ込んでクッとつかんで引き上げたんです。

見て驚いた。それ、短刀のね、柄なんですよ。

柄の部分なんだ。
錆びてるもんだから、ちょうどその刃物が入ってるところで、これもう刃が抜けてないんですよ。

でもそのちょうどつかんだ、このね、刃物が刺さってるこの辺り、その辺りが錆なのか血なのかね、こげ茶色でべたってぬれてるんですよね。

たぶんそこ落ちてるんでしょうね。
あの、うおおーってその声、たぶんその場所でもって首かなんかついたんでしょうね。
樹海では、時々そんな不思議なことがあるんですよね。不思議ですよね。