視界の裏側

視界はシャボン玉の様な球体になっている。
この中に手をつっこむと、肌色の五本指の手になる。
このシャボン玉の外は真っ暗な空間。
その真っ暗な空間の外側、つまり眼が真っ直ぐ前を見たまま視点を固定し、脳内の仮想空間を見ている眼を動かす事が出来る。
自分は脳内の眼を視界の外側、何も描写されて居ない暗闇の空間に眼を凝らした。

暗闇の奥にはチカチカと小さな光が無数に存在している。まるで星のようになっている。

もう少し眼を凝らすと、その星の一つ一つに風景が写っている。
どうやらこの星は今現在誰かが見ている視点の光の様だ。
そしてその光には髪の毛の様に細い糸がついていて、それは同じ方向に伸びている。
上下左右どちらの星を見ても糸がついていて、その糸はどうやら自分の背後の方向に伸びている様だ。

自分は無数の星から伸びる糸がどこにつながっているのか後ろを振り返った。

自分からも細い糸が伸びている事に気づく。
そして自分の背後には、巨大な光の球体があった。とんでもなく大きく、初めは球体ではなく壁だと思った。それくらい大きい。

これが魂というものであると理解した。
となると私はなんなのだろう?