規則正しく動く細胞

眼を閉じると、ミクロの様な世界に入り込んだ。
様々な細胞が並び規則正しく動いている。
その細胞達は時には食べられ、時には産まれてくる。
その様々な細胞達の暮らしが綺麗なペルシア絨毯の曼荼羅模の様に規則正しく並び、常に形を変えて生きている。

この規則正しい動きによって私は生きているのだなと感じるが、私が細胞であればこの規則正しく産まれては殺されていく様は地獄の様に感じてしまう。なぜなら人を活かすために細胞は産まれた使命をはたすのだから。



思ったのだが、それとは真逆だった。
それぞれの細胞は歓びに満ち溢れており、酸素を運ぶ細胞は、嬉々として酸素を身体に供給しているし、鼓動を刻む細胞もよく見るととても楽しそうに踊っている。
そして古くなって死ぬ細胞は『またね!』と言わんばかりでその姿に悲壮感は感じられない。

人間の身体は様々な細胞で構成されているが、それらの細胞は生まれてきてから、やりたいことだけをやって満足したかのように死んでいく。

初めはとてもグロテスクに感じたけど、見れば見るほどにとても美しい姿に感じました。

眼を開けて、手の甲を見ると皮膚の細胞が虫眼鏡で見ているかの様に鮮明に見えた。

こいつらがたのしいことだけをしている結果、自分が生きているんだなと感じました。