何処からか声みたいなものが聞こえたのです。

『髪を切れ』と。
ハァ?って思ったら次は『依代』とも聞こえてきたのです。

脱出ゲームや、祖父の葬儀で神主さんから依代とか形代の話は少し聞いてたので、髪に自分の魂とやらを入れて身代わりにすんのか、と一瞬で何故か理解できました。

迷わずに右手で、髪を一房根元から引きちぎって手から離しました。

すると、風が後ろにあった出入り口方向に吹いて、髪を飛ばしたと思ったら、前に転けそうになって、目を一瞬閉じました。

目を開けると友達が慌てて私のカバンを掴んで転けるのを塞いでくれてました。
気づけば、体全体が動かせ、自分の体に戻れたように感じました。

「大丈夫?」
と言う友達に驚き後ろを向くと、離れた場所から女が髪が飛んでいった方向に歩いて行くのが確認できました。慌てて友達の手首掴み、ホワイティから出るために走りました。