腹が立った俺は逆に驚かしてやろうと、ライトが別の方向を照らしている間にそっと金網まで近づく。そして金網を強く握りしめ、大声を出そうとしたその時――。


空に稲光が走り一瞬昼間のように明るくなる。


――誰やねん。


そこには見ず知らずのオッサンと犬がいた。そいつらは雷が鳴るや否や走り去り、その場には戸惑う俺だけが残された。


結局その後も何も起こらず、Aの家に戻ると2人は先に帰って寝ていた。

学生時代はあんなに良い奴らだったのに…。


時の流れは死ぬ程洒落にならないくらい怖いな~と思った出来事だった。