神社の敷地には幾つかの社があり、それなりに広い。何本もの立派なクスノキが境内を取り囲むように生えており、風が吹くたびに木の葉を揺らした。が、俺は霊感なんてないし、信じてもいなかったので別に怖くはなかった。

むしろ、天気の方が心配だ。なにしろ予報では未明から雨になっていて、早くも雷が鳴っていたからだ。俺は足早に1周目を終える。すでに鳥居に2人の姿は無かった。