「あなた どこの人?」

俺は身体が思うように動かなくて 全く動けないし声も出せない。呻くことしか出来なかった。

「ぅううううヴヴぅう....」

何が起きたのか全く分からないし、助けて、動けないって気持ちでいっぱいだった。

そしたら急に自分の喉仏が痙攣したみたいに斜め左上にグイッと上がって

「私は...私は」と自分が話してるつもりがないのに自分の喉から自分の声じゃない音で話し始める。

そこでふっと意識が飛んだ。

次に意識が戻った時は 母親とE美さんの彼氏に左右から両腕を捕まれて、前のめりに突っ伏してた。

起き上がろうとしても起き上がれない。

声を出そうにもまだ喉仏の位置がおかしくて、声も出せない。
でもこのままでもいいかなと思えてきたんだ。
明らかにおかしいんだけど 自分でもこのままでいいやって思ったんだよね。

「このままでいい!この子の代わりとして生きていく この子もそれを望んでる!」と咄嗟に自分は言ってた。

でも声は俺の声じゃないんだよ。
しかも話してる時って 自分で考えて会話してるから意識はハッキリしてるはずじゃん?
意識が全然明瞭じゃないのに話してるの。
自分の身体を使って誰かが話してる感覚。
何が起きてたかそこで悟った。憑依されてたんだよね。