部屋に戻ると また直ぐに気持ち悪くなって トイレに駆け込んだ。次はO男さんに 借りてもいいか 聞けないくらい強い吐き気だった。

でもいくら嗚咽しても吐けなかった。
また少し落ち着いて部屋に戻ると、直ぐにO男さんに仏間に来るように言われた。
O男さんは普段は作務衣を来てて 何か儀式をする時は立派な服に着替えてるんだよね。なんて名前のものかは分からないけど。
家に着いた時は作務衣だったけど 呼ばれた時には着替えてた。

普通 人と話す時って目と目を合わせて、何か考えたりする時は視線を反らせて、ジェスチャーを交えながら目の前にいる人と会話すると思うんだけど、

O男さんって 会話がよく止まるんだよね、表現が難しいんだけど、時がピタって止まる感じ。
そういう時って 目線がここの周囲の空間に向いてない感じなんだよね。さっきまで自分と目が合ってたのに 急に会話が止まって 斜め上の方を見てたり、俺の方見てたのに 急に視点が俺のずっと奥の方を見てたり、ちょっと不気味で O男さんと話すのはあんまり得意じゃなかった。

仏間に入ると、O男さんが

「○○(俺の名前)くん 正座して手を合わせながら声に出して××(お経)を読んで」と言いながら斜め上の方を見てる。

そう言って 俺が言われた通りにワンフレーズの知ってるお経を唱え始めると
俺の背中を擦りながら O男さんは難しい何と言ってるか分からないお経を唱え始めた。
俺の背中をお経の抑揚に合わせながら強く叩いた瞬間に一気に全身の力が抜けて、間抜けな格好で前かがみに倒れた。

(ここから後のことは記憶が曖昧だから多少脚色しながらも分かりやすいように書くね。)

その時には手も合わせられないし声も出せなかった。

そうするとO男さんもお経を唱えるのを辞めて、静かに俺に話しかけた。