そしてその絵が家に来た晩から、自分の小学校低学年の妹が
うなされるようになったのです。妹は両親と一緒に寝室で寝ていたのですが、
決まって夜中の2時過ぎになると、ひーっと叫んで飛び起きます。
そして聞いたこともない異国の言葉のようなものを発し、
両親に揺さぶられて我に返るのです。もちろん病院に
連れて行きましたが何の異常も認められないとのことでした。
家の者は、また骨董のせいではないかと疑っていましたが、
それを親父に言い出すことはできませんでした。ただ時宝堂が来ていたとき、
親父がこの話をしたら、「おお、それはいよいよ生まれるのですな」と、
意味不明のことを言っていたとは聞きました。