そして、それは和室の床の間に飾られることになりました。
掛け軸が来てから、家の中の異変はいったん収まったようでした。
相変わらず猫は書斎へは入らないものの、植木は元気を取り戻し、
物が腐りやすいということもなくなったのです。
親父は「古い物はほとんどが人間の一生以上の歴史を持っていて、
 中には悪い気を溜め込んでしまっている物もある。
そういうのの調和を取るのが骨董の醍醐味だと、時宝堂さんから聞いたよ」
と悦に入っていました。