これ、最初の徳治郎の名前は聞いたことがなかったんですが、
篤蔵というのは、うちの曽祖父です。「何の話なんだこれは?!」と思っていると、
わずかに指の先が動くのがわかりました。金縛りがとけてきてたんです。
それで、指を2本、3本と動かしてるうち、腕も大丈夫な気がしたので、
思いきって布団をはね上げたんです。ゴロリ、重いものが転げる感触がありました。
肘をついて上半身を起こすと、枕元にあの石が、ひっくり返った形であったんですよ。
床の間にもどしましたが、かなり温かくなっていて、なんだかドクンドクンという
鼓動のようなものまで手に伝わってきたんです。翌日、少し調べましたが、
曽祖父が、勤めていた役場の金を使い込んで、なんとかもみ消したのは
事実でした。徳治郎はその父親、当時の家で病死してるまではわかったんですが、
なにぶん昔のことで、それ以上は・・・