それと、胸の上がすごく重くて。ええ、金縛りはそういうことが多いんですってね。
どうしようもないので、そのぶつぶつ声に耳を澄ましてたら、
だんだんに言ってることがわかってきたんです。昔の言葉だったので、
そのままじゃないんですが。・・・この内容、うちの家系の恥になることですので、
なんとか他言はしないようにお願いします。 「見たぞ、見たぞ、
 〇〇徳治郎が死ぬのを見たぞ。徳治郎は医者に注射されて死んだぞ。
 空に手を伸ばして苦しんで死んだぞ。女狂いであちこちに妾をつくっていた

 徳治郎、家財を使い果たし女らに捨てられ、親族にあいそをつかされた徳治郎、
 家族に暴力をふるって暴れた徳治郎は、医者に毒を注射されて死んだぞ・・・
 見たぞ、見たぞ、その息子の篤蔵は、役場の金を使い込んでいたぞ、
 金庫を開けて、溜め込んでいた金を一枚一枚数えてるのを見たぞ、見たぞ・・・」