これは俺が友人から聞いた話だ。
その友人には仲の良い先輩がいるんだが、その先輩は半グレみたいな、その筋の人たちとも結構つながりがある人らしい。先輩自身は特に犯罪行為とかはしていないらしいが、半グレの友達から飲みで聞いた話をよく話してくれるそうだ。闇バイトや、先輩の友達の犯罪行為の話だとか。
本題はここからだ。先輩の友人(半グレ)の仕事仲間が失踪した。こいつを仮にAとする。先輩の友人(Bにしとく)はAとはタッグを組むような形でよく仕事をしていて、相棒のような関係だった。
半グレの業界で失踪といえば、殺しの依頼で失敗して命を狙われるというケースが多いらしい。漫画みたいな話だ。しかし、Aが失踪する理由には本当に心当たりがなかった。そもそもAやBは半グレ業界では下っ端に近く、殺しの案件などめったに回ってこないからだ。業界を抜けるために逃亡するケースもあるらしいが、Aがそんなそぶりを見せたことはなかった。Aの家族や共通の知人に確認しても何も知らないという。
不可解な点があったとすれば、Aが失踪する直前によく口にしていたことだ。
「幽霊屋敷の通りでいつも変なジジイが話しかけてくる」
このジジイがAの失踪について何か知っているかもしれない。そう思ったBはさっそく幽霊屋敷の通りに行ってみることにした。(友人からの又聞きのため、東京のどこかにある、ということしか教えてもらえなかった)
その町は相当雰囲気の悪い街で、大通り沿いに近所ではかなり有名な心霊スポットがある。それが幽霊屋敷だ。見る限りは何の変哲もない荒れ果てた民家だが、夜中になると大勢の人のうめき声が聞こえるのだそうだ。
Bは幽霊屋敷の近くの大通りに妙なジジイがいないか探した。しばらく探していると突然、背後から話しかけられた。