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火事があった事を母は認めました。
怖い出来事だから話すのも良くないと思い、私には話していなかった。……ということもなく、話しても話さなくても良かったから偶々話さなかった。みたいな風でした。

しかし不思議な事に、フランス人形の存在は否定したのです。いつも通り至って普通に、そんなものは無かった、と。

夢で見る女の子は、あのフランス人形の思い出が創り出した物なのでしょうか。
だとすると母が存在を否定するフランス人形は本当は実在したのでしょうか。
母の否定が意味するものはなんなのでしょうか。
母が言うように、フランス人形が無かったのであれば、
あの女の子は?私の妄想なのでしょうか?
女の子の髪や服や顔が、燃えて黒く焦げるのを、物心つく以前から妄想しているのでしょうか?