ニニギノミコトに受け入れてもらえず、悲しみにくれた磐長姫はその醜い顔貌を鏡に映し、一層嘆いて、鏡を投げ捨てた。その鏡は一ツ瀬川上流の龍房山(りゅうぶさやま)まで届き、日夜光を放ったことが「白見=銀鏡<しろみ>」という地名の起源伝承である。
銀鏡神社の御神体は龍房山であり、磐長姫であるともいう。銀鏡神楽には磐長姫と思われる神は出ないが、「宿神三宝荒神」が磐長姫であるとの伝承もある。ちなみに銀鏡地区横平鹿倉神社の御祭神は白い女面で「山の神」と伝えられる。ここでは、磐長姫信仰は山の神信仰、荒神信仰、星宿信仰などと混交しているのである。