タイトルの「奇蹟」はキリスト教におけるそれで、本作では特に「秋田の聖母マリア」と呼ばれた現象が取り上げられている。
これは1973年、秋田市の修道女の掌に十字架型の傷が現れ(スティグマータ、聖痕とも呼ばれる)、
その後、マリア像が涙を流していたという一連の出来事で、1988年にバチカンのラッツィンガー枢機卿(後の教皇ベネディクト16世)によって正式に奇蹟認定されたとか。

法水がなぜか涙を流すのはマリア像ばかりというところから始めて、奇蹟認定の陰に潜む教会の権力構造に目を向ける。
マリアが流す涙よりも世界中で流されている無辜な人々の涙に思いを致すべきだという法水の言葉にほろり。