トルコのエルドアン大統領(AP)

 トルコとロシアは経済や軍事的な結び付きが強く、ロシアのウクライナ侵攻以降も良好な関係が続く。4月末にはトルコ南西部でロシア国営企業が建設したトルコ初の原発が開所。プーチン氏もオンラインで式典に参加し、エネルギー部門でも連携を強めている。
 安全保障面でトルコはNATO加盟国だが、ロシア制裁には参加せず特別な存在感を示す。エルドアン氏はロシアとウクライナの仲介役を務めたほか、ウクライナ産の穀物輸出ができず世界的な食料不足が懸念された際には、両国を取り持って黒海からの輸出再開に貢献した。
 スウェーデンとフィンランドのNATO加盟問題では、トルコがテロ組織指定するクルド労働者党(PKK)のメンバーらを両国が支援しているとして反対。両国から「テロ組織は支援しない」などの譲歩を引き出すなど、外交手腕を発揮している。
 一方でエルドアン氏は人権問題やメディア弾圧など巡って、欧米から批判を受けてきた。しかし、再選を果たすと「今後数年間、欧州連合(EU)とトルコの関係強化を楽しみにしている」(ミシェルEU大統領)、「NATO加盟国として共通の課題に取り組みたい」(バイデン米大統領)など欧米各国から祝辞が相次いだ。
 アルアハラム政治戦略研究所(エジプト)のカラム・サイード研究員は「ロシアとの良好な関係は、エルドアン氏には欧米に圧力をかける外交カードになる。今回の再選で、同氏の欧米への影響力はより強まるだろう」と話す。

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