ある日突然山に行きたくなった。レンタカーを借り、本能に身を任せ、木が生い茂る方向に行った。
辺りが薄暗くなった頃にとある廃村のようなところに着いた。そこで木の看板を見つけた。見るからに古く何か書いているがよく分からない。しばらく頭を悩めながら見ていると。○○山と書いてあるようだが肝心の○○の部分が分からなかった。これからどうするか等と考えていたら暗くなっていたので、とりあえず夜を過ごそうという結論に至った。そして、明るくなったら看板の示す方に向おうと。
そして持ってきていたテントの中に寝袋を入れその中に入り眠りについた。何時間立ったのだろうか、ヒソヒソと声が聞こえる。何か話している。村の人だろうか。許可を取れば良かったなどと寝ぼけながら考えた。そして今からでも事情を話そうと考えテントのチャックを開けようとした時、あることを思い付いた。何故村人がいるのに、村は廃村のようになっているのか。その時月明かりでテントの外の影がテントの壁面に写し出された。それはとても異様で不気味だった。人の形をしているようでしていない。
ゆらゆらと煙のようなものがうごめている。
それが2つ3つと増えていく。恐怖で動けないままでいると、ついにはその煙のようなものはテントの周りを取り囲んでいた。
なんで来たんだろうと後悔をした。
そしてそれらは1つの大きなものとなりテントは真っ暗になった。ヒソヒソ声が大きく聞こえる。あらゆる方向から視線を感じる。そしてはっきりと聞こえた。
「デ…テイケ」
その後俺はどうしたか覚えていない。
気を失ったのか、日が昇るまで恐怖に耐えていたのか。
気づいた頃には周りが明るくなり始めていた。
俺は安堵した。急いでテントから出て帰り支度を始めた。
テントには黒い何かでびっしりと埋め尽くされていた。前日のこともあって、とても恐怖を感じた。そのまま車に乗りこみ来た道を戻ろうと思い車に乗りこみエンジンをかけた。
ふとミラーを見るとそこには昨日あったはずの廃村のような村がなく。そこには数多の赤黒い手形が着いた首のない地蔵が沢山あるだけだった?