時は7世紀半ば、現在の山梨県や静岡県を流れる富士川のほとりで、人々の信心の対象になっていたものがありました。それは蚕(かいこ)に似た虫で、アゲハチョウの幼虫ではないかと考えられています。

この虫は、海のかなたにあると信じられていた国「常世の国(とこよのくに)」から来たと考えられ、「常世の神(とこよのかみ)」と呼ばれていました。そして、この虫を祀(まつ)れば、貧しい人は豊かになり、老いた人は若返るといわれました。