『カガミから「ガ(我)」を取り除けば「カミ(神)」となる。
つまり、鏡に映った自分の姿から我欲を取り去ることができれば、
神なるものを内在した真の自己に出会えるのだ。
これが天皇の行っていた自霊拝という行法で、自己の霊格を高めるものである。
また、カガミは、冷静に物事の状況を比べて考えることを意味する「鑑みる」や、
反省を意味する「顧みる」にも通じ、自己を客観視することも意味する。
己の心から我を取るということは、自分の執着心を捨てるということである。
執着心は心の曇りとなり、自らを客観的に見ることを妨げる。
これは鏡が曇ると、自己の姿をはっきりと映し出すことができなくなるのと
全く同じことである。
さらに、鏡は光を反射する特性を持っている。
太陽に象徴される神・天皇の恩恵は光の如く万民に降り注ぐが、
それを受けるだけではなく、自分が受けた光をさらに反射させ、
周囲を照らすことの大切さをも表ているのである。
鏡は、自分の執着心に囚われることなく、常に自己を客観視するための反省の大切さと、
自分が受けた恩を周囲に還元していくという人の道を表しているのである』