そんな事してると、あっという間に犬鳴トンネルについたんだ。それで、みんな早足で歩いていくと、すぐにトンネルを見つけたんだ。女達が、高い声で怖いなどと言っていたんだが、特に霊が出るわけでも無く、20分もしないうちにみんなシラケて帰ろうってなんたんだ。そして、みんな帰路を辿っていたんだが、俺は道の端に封筒を見つけたんだ。

「あれ、なんでこんな所に封筒があるんだろ。」

俺は好奇心が勝って、その封筒を拾って中を開けてみたんだ。その封筒は前日に降った雨でびちゃびちゃになっていた。汚いと思いながらも手早く俺は中に入っていた半分に折られていた紙を広げてみた。

「拐え」

背筋に冷や汗がつーっと落ちてくるのが鮮明に感じとれた。字が雨でにじんでいたとはいえ、そこには明らかに拐えという文字があった。Bや女達もこの紙を見てゾッとしていた。俺たちは何か言うまでもなく、車まで急いで走り、急発進で犬鳴トンネルを去った。
車の中はしーんとしていた。そんな中、Cが口を開いた。

「なんであんな紙あるの」


「そんなの分かるわけねぇだろ」

Bが口調を荒らげながらも、みんなそう思っていた。この日はそれ以外何もないままみんな早々と解散した。

それ以降、俺はBとは今でもたまに飲んだりする中だが、未だにあの紙があったのかは分からない。だが、憶測ではあるが、あの封筒は、誘拐された人が持たされていて、あのトンネルで殺された後に、誘拐したやつに捨てられたんじゃないかと思っている。