口が動いたんだから体も動くだろう、と体に力を込めて咄嗟に相手の顔を殴った。全然力の入っていない拳だったんだけどまともに食らった相手が仰け反った所をむりやり体を起こして更に二発、三発と続けて殴り付けて、気が付いたら布団の中で目を覚ましてた。

体感で20分くらいの金縛りだった、確かに自分は起き上がって相手を殴ったのに布団は肩までしっかり掛かってて、一瞬夢かと思った。だけど囁かれてた方の耳は耳鳴りがずっと止まらなくて、手にも殴った時の感触が残ってて生々しくてゾッとしたのを覚えてる。

その後すぐテンションが上がって金縛りにあいやすい友人達に「初めて金縛りにあった」って話した。何だかんだとそれぞれの体験とそれぞれ対処法とかで盛り上がって話している間に、金縛りになった時女に対して覚えた既視感について思い出した。

馬乗りになって金縛りを掛けてきた女は当時遠距離で付き合ってた彼女にそっくりだった。

その後暫く経って彼女から別れを切り出されて彼女とは別れた。それから金縛りにはなってない。