厄年(やくどし)と言うと、現代では病気や怪我、災難が起きる「厄介な年」と考える人が多くなっていますが、元来は違う意味を持っていました。

「厄年」は「役年」だった

かつて、日本全国の村々には必ず鎮守の杜(氏神様)があり、村人が協力してお祭りを行っていました。

このような組織は宮座や宮講などと呼ばれ、古くからありましたが、室町時代から顕著に発達したと考えられています。

宮座の中でも、一定の年齢に達した人はその経験を認められ、お祭りの重要な「神役」(神事に奉仕する役目)を任されるのが慣わしで、いわば通過儀礼の一種でもありました。

神役を務める年、すなわち「役年」を立派に乗り越えることで、少年から大人、大人から古老への仲間入りができたのです。