作中に登場する宗像草太は教師をめざす大学生で、また「閉じ師」でもある。「閉じ師」とは、常世に通じ、そこから災いがもたらされる「後ろ戸」を閉める仕事で、草太は閉じ師の家系の末裔である。
閉じ師という家業はおそらく存在しないが、要石と結びついた仕事が近世まであった。地震鎮めの神である鹿島神宮に対する信仰を、日本の各地に広めた「鹿島の事触(かしまのことぶれ)」である。