志村真幸
5つ星のうち4.0 ケルトの妖精たち
2008年5月14日に日本でレビュー済み

イエイツの『The Celtic Twilights; Myth, Fantasy and Folklore』(1893年)の翻訳。ちなみに全訳である。
イエイツがみずからの足で民間伝承を集めてまわり、一冊にまとめたのが本書。
アイルランドの妖精、伝説、迷信、幽霊などの話が収められている。いずれも不思議な物語であり、読んでいるうちに奇妙な気持ちに囚われてくる。現実と幻想の境界が曖昧になってくるような。
アイルランドの人々は、妖精や幽霊の存在を疑っていないのである。実在する、日常のものとして受け入れ、何食わぬ顔で対応している。そこに魅力があり、引き込まれてしまう。
イエイツの語り口も上手い。