このゲルマン神話がいまひとつの古代核戦争の描写であると考えても、もはや反論はあるまい。
こうして世界は一度、一切が終わりとなるのである。が、ゲルマン神話はその後の世界の再生をも描写する。

「そして、いまや一切が再び新しく始まろうとする。かつての世界の残骸は新し世界となって生まれる。ゆっくりとではあるが大地が波の中から姿を現す。山々は再び高まり、かつての日と同じように野は緑の植物におおわれる」

だが、人間は? 人間はこの戦乱を生きのびるのだ。

「世界を灰と化してしまったあの焼きつくすような炎も、イッグドラジール(ゲルマン神話の世界樹、トネリコの大樹)を焼きつくすことができなかったので、その幹の中に閉じこめられていた人間の先祖たちは死を免れたのである。
彼らが見いだした安住の地では、彼らの食物は朝の霞だけであった。」

世界を灰と化すような炎から、人間の祖先を守ったイッグドラジール。ここでもまた“耐核シェルター”が登場する!
いずれにせよこのゲルマン人の神話は、核シェルターだったメガリスとそれにまつわる核戦争による古代社会の壊滅の記憶を、いまに伝えているようなものだ。