その結果、世界は終末を迎える。ラグナレク(神々の黄昏)が到来するのである。神々と巨人たちの戦いは次のように描写される。

「南方にはズールト(世界全体の火災を引き起こす巨人)が姿を現し、そのうしろには数知れぬ巨人どもの群れが続く。ズールトの剣は光を放ち、彼の周囲では、亀裂を生じた地面から炎が湧き出ている。
彼が近づくと岩は崩れ、人間は生命が絶えて倒れてしまうのである。進んでくるこの軍勢の喧騒のために、天蓋はゆり動かされ、またその周囲の猛火に焦がされて、真っ二つに裂けてしまう。
そして、火の息子たちが大地と神の住居っをつないでいる虹の橋の上に馬を通すとき、この橋は燃え上がり、融けてしまうのである。」(『ゲルマン、ケルトの神話』)

この巨人の軍勢と神々の軍勢がヴィグリットの野で大会戦を展開する。が、巨人ズールトの勢いはすさまじく、地球全体を炎でおおってしまい、世界を灼熱の状態に変えてしまうので、さすがの神々も一人残らず死んでしまう。
いや、どの植物も、どの生物もひとつ残らず絶えてしまう。残るは荒れ果てた土だけである。