神社跡地

Kさんは大学の頃、民俗学を専攻していた
学生の頃は全国各地を回って伝承の出所を探ったり、妖怪を見た人の話しを聞いてレポートに纏めていた
元々の勘の良さ(多分霊感)と民俗学研究の癖で、Kさんは妙な気配のある土地の歴史を調べる事がある
Kさんはある時有名な山の中を散策していた
昔は山中に神社やお寺があったらしいが、今は大きいものが1箇所と祠が何ヶ所かあるだけらしい
奥の院へ続く道から祠に続く獣道っぽいものがあって、Kさんはそこを行ってみようとしたが、あまりの悪路に迷ってしまった
でも其処には沢があり、大きな山でもないしここを登れば山頂に出られると考えて沢伝いに登る事にした
水量も少なくて雨が1週間も降らなければ枯れてしまいそうな沢だったが、そのお陰で登りやすかった
暫くハイキング気分で明るい森の中を歩いていたが、異変は突然起こった
足を一歩踏み込んだ瞬間、そこは違うと分かった
先程と同じ景色、同じ天気、同じ道
なのに音がない
耳に水が入った時でさえ、ボーッとしたような音がするのにそれすら無い
それに天気が良いはずなのに暗い
更に体全体が此処はヤバいと伝えている
Kさんは来た道を引き返し、運良く山道に戻る事が出来た