「えっ、じゃあ自然に治ったんですか?」
「いやいや大変だったよ。山形の寺に月2、3回のペースで通ってお祓いして、やっと収まったんだから」
「ああ、じゃあ何かに取り憑かれた系の話だったんですか?」
「俺はよくわかんないんだけどね。娘が何をまくし立ててるのか全く分からなかったんだけど、なんかイントネーションが中国語っぽいなーって思ったから、ものは試しで中国から研修で来てたR君に娘の動画を見てもらったんだよ」
「中国語だったんですか?」
「うん、R君はよくわからないって言ったんだけど、北の方の言葉っぽいって言うから黒竜江省から来てたOさんに見てもらったんだ。そしたら間違いなく中国語だって」
「へー、で、娘さんなんて言ってたんです?」
「断片的なんだけど、一番多かった言葉が『痛い』と『やめてくれ』、あと『お母さんに会いたい』『○○(よく聞き取れなかった)が食べたい』『指を返してくれ』なんてことを言ってたらしい」
「えーなんすかそれ、怖いなー」
「Oさん途中で涙ぐんで来ちゃってさ、申し訳ないから打ち切ったけど、そこでただ事じゃないなって思ったわけ」
「それでどうしたんです?」
「そっち方面で相談できる人を探した。まあ、たまたま嫁の叔母さんが詳しい人で、山形の△△寺に連れて行けって言われたんだよ」
「それで山形に通ったんですか」
「住職さんがスゴい人でね。親身に相談に乗ってくれてさ、5ヶ月かかったけど最後に『もう大丈夫』って言われてからは何もない」
「それで、結局原因は分からず仕舞いですか?」
「まあね。でも、もしかしたらコレなんじゃないかって記事を最近ネットで見かけて、自分なりには納得してる。嫁にも娘にも言わないけどね」