やがてふた家族は村長の家につく。昔ながらだが至って普通の古民家。
村長と村長の奥さんは笑顔で「よく来てくれたね」と出迎えてくれた。
囲炉裏を囲んでみんな座り、葬式のような静けさが部屋を包む。村長の奥さんは「はい。今日も暑かったねぇ」と大人には麦茶、子どもの俺とAには紫蘇と何かが混ぜられてたジュースが渡された。
とても不味かった。
俺は一口飲んですぐグラスを床に置いた。

静まり返る中村長が口を開く。「ならAちゃん。今日あった事を話してくれるかな?」
笑顔でAに言う。
Aは下を向いたままポツリポツリと正直に話し始める。
村長はウンウンと頷きながら話を聞き、A家族は上の空。

Aは今日あった事や日頃1人でもあの場所に行ってたこと、神様と普段お話をしている事をゆっくりとはなした。
Aが話し終えて次は俺の番。俺も今日あった出来事をAが話そびれた部分だけ話し、あの耳元で聞こえた声の事も話した。
声について話した時に村長の表情が一瞬真顔になったのが怖かった。
俺らが話し合えると村長は「怖かったね。ありがとう話してくれて」と優しく言葉をかける。
そして「では詳しく説明しましょう」と。
村長の奥さんは俺とAの子どもは席を外した方が‥と村長に言っていたが、もう関わってしまったんだからこの子らもちゃんと聞く必要があると小声で話していた。