『百姓』とは、文字通り“百”の“姓”ということです。“百”は“たくさんの”という意味です。そして“姓”とは“苗字”のことです。日本ではその昔、“苗字”は職業を表すものでした。
昔は地域コミュニティの中に、大工がいたり、鍛冶屋がいたり、医者がいたり…と実に様々な職業の人達がいて、それぞれの人達が自分が持つ専門知識や技量を活かして、お互いに助け合いながら農業というその地域の基幹産業を営んでいたわけです。実際、現代の「兼業農家」よりも遥かに幅の広い職業をやりながら、皆で一緒に農業を営んでいたようです。。中には気象予報を専門にした人が地域コミュニティごとにいたのかもしれません。地域ごとにお天気に関わる諺が残っているのは、きっとそのような技量を持った人がノウハウを分かりやすく伝承した名残のように思えます。

なので、農業従事者のことを『百姓』と呼ぶのです。すなわち、“農業”とは実に幅の(裾野の)広い“総合産業”であるというわけです。