よくよく考えてみれば、この神社の正式名称すら知らなかったことを思い出し、自分から恐怖に拍車をかけたりしてしまいました。

漠然と「この神社、もしかするとおかしい…?」と思い始めていたのですが、自ら吐いたツバは飲み込めません。

しばらくして奥さんに蔵に案内され、そこで昔見つけた「甲斐国史要書」という古書を探してみました。
見つけるのに時間はかかりませんでした。数分で古ぼけた棚からそれを探し出すと、ボロボロの紙質に配慮しながら丁寧に開きました。

以前私たちが読んだ時は、ページをめくる方向を間違えていたらしく、逆向きから読んでいたことに、ここで初めて気付きました。
記憶を頼りに読み進めていくと、とうとうあの詞のようなものが書かれている部分にたどり着きました。
やはりその内容は、記憶の中のそれと一字一句違いませんでした。