奥さんに蔵を漁ることの許可を貰うと、後日、小学生の頃によく遊んでいた件の神社へと赴きました。
小高い山を登り、初めて来る方には気付けないような獣道に逸れると、その神社はあります。

境内の周囲を見渡すとヒイラギの木に外周を囲まれています。
昔はあの葉っぱでよく怪我をしたなあ、などと感傷に浸ったりしました。

しかし私は、以前と何も変わっていないはずのこの神社に妙な不安感を感じました。
他の神社と比較すると、少しずつズレている場所があったのです。

まずこの神社の出入り口となる神明鳥居が1つあるのですが、それが空間的に仕切られた狭義で言うところの敷地内・境内と繋がっている……つまり鳥居を一歩潜れば、直接的に本殿のある空間へと出てしまうことになります。

参道が無いのです。