>>177の続き

トラやパンダ、サイなどの哺乳類は絶滅寸前の危機的状況から改善しつつある、という事実は載っていますが、生物の絶滅のスピードが最小限に見積もっても自然絶滅の100倍以上の速さで進み、急速に生物の多様性が失われているという事実は載っていません。

更に「DDTで死んだ人間はいないのだから、使えばよい。難民キャンプで蚊が媒介する伝染病を防げるから」と書いていますが、ネオニコチノイド系の農薬によって蜜蜂やトンボが大量死している事実には触れていません。

海洋資源については一言も触れておらず、水温の上昇や乱獲、水質汚染、マイクロプラスチックやバラスト水による生態系の変質などより、年々、悪くなっていることも(意図的に?)無視しています。海の森林と呼ばれるサンゴ礁の死滅などは全世界的に進行し、もはや壊滅状態です。

約400ページもある本で世界について語っているのに、今、現在も続く大量生産・大量消費の社会(レベル4の生活)について何の懸念も書いていないのは違和感があります。

この本の中に、「あなたには(著者のこと)ビジョンがない」とアフリカの女性に批判されたエピソードが載っています。正にその通りです。「このままで、結構いい感じじゃない?」という結論で終わっています。世界について語っている本なのに、この本にはビジョンがないのは残念としかいいようがありません。

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