田所博士は、独身で、日本国土そのものに恋をしていて、
で、共に沈んだ。
渡老人(日本のフィクサー:純粋な日本人ではない、と最後に告白していた)も、
目を閉じた。共に沈んだ。

世界に逃れた人たち。最後は、シベリアに向かうソ連の列車内。
もはや、頼れる日本の四島はない。
もう、母なる土地がない。

その絶望とどう戦う。
流浪の民となった日本人は、世界で蔑みの声を浴びながら、ただ、自己憐憫と、
うらみつらみ、をいいつのるだけの民族となるのか?

ま、いろんなのがいるから、日本人だって、立派に生き抜くものと、そうでない
ものとに分かれる、というのは、当然、予想できる。

今、おきていることですよ。
分かれているのです。その、まっただなかです。