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フィリピン料理には粒コショウ、トウガラシなどの香辛料、ショウガ、タマネギ、トマトといった香味野菜が使われる[6]。中国、スペインの影響を受けた料理にはニンニク、タマネギ、トマトを味付けの下地とするものが多い[6]。フィリピン料理に用いられる魚醤(パティス)、ココナッツミルクなどの調味料は他の東南アジア諸国の食文化と共通しているが[12]、他の地域と異なりフィリピン料理の味付けは比較的穏やかでトウガラシはあまり使われない[12][11][6]。そのため、他の東南アジアの人間にはフィリピン料理の味付けは物足りないと感じられることもある[18]。香辛料が多用されない理由について、他の東南アジア諸国と比べてフィリピンの島々はインドから離れた位置にあるため、香辛料を多用するインド文化の影響が及んでいないことが挙げられている[18]。インドや、インドと同じく料理に香辛料を使うイスラム教圏からの影響はフィリピンの一部地域にのみ見られ、フィリピン南部のイスラム教徒、ルソン南東のビコル地方では辛口の料理が好まれる[14]。

柑橘類のカラマンシーや酢のほかに熟していないタマリンドの果肉、カミアス(ナガバノゴレンシ(英語版))の果実など、フィリピンではすっきりした酸味が好まれているが、中国料理のような甘味と酸味が合わさった料理はあまり食べられない[に使われる[20]。これらの酢は食中毒の予防、生ものの保存のために料理に使われる[21]。これは、酢に含まれる酢酸によってpHが7(中性付近)よりも低下するため、腐敗の原因となる細菌の繁殖を、ある程度抑制できるという効果を利用したものである。

パティス、カラマンシーの汁、塩辛の1種のバゴオンといった調味料で、各人がそれぞれの好みの味付けをしたうえで料理はで多用される[18]。一方、南部地域では華僑によってもたらされた中国醤油のトヨがバティスに取って代わりつつある[18]。ブロ(Buro)煮物、焼き物にはショウガが使われ、中華風の炒め物、揚げ物にはニンニク、タマネギ、トマトで風味が付けられる[11]。菓子以外の料理にも甘い味付けのものが多く、バナナを材料とするケチャップを使ったミートソース、甘口のソーセージなどが食べられている[21]。ココナッツミルクを使った煮込み料理は「ギナタアン(ginataan)」と総称され、ビコル地方ではココナッツミルク入りのアドボが好ま