>>107
ハードウェアビニングの利点は、読み出し雑音を大幅に抑えられることである。撮像素子は、読み出しを行う都度、読み出し雑音が上乗せされ、通常の読み出しでは、全画素の信号に読み出し雑音が加算される。ハードウェアビニングを行うと、読み出し雑音の加算は、まとめる複数画素につき1回分だけになるのに対し、信号はまとめる複数画素の分が合算されるので、理想的な条件下では1画素にまとめる画素数に比例して、SN比が向上することが期待される(例えば、2×2画素のビニングであれば4倍向上する)[4]。また、ハードウェアビニングでは読み出し回数が減るので、読み出しに要する撮像にとってのむだ時間が短縮し、撮像を高速化することができる[1][4]。その代償として、ハードウェアビニングでは不可逆的に画像の解像度が低下する[4][6]。

ビニングのもう一つの方法、ソフトウェアビニングは撮像素子から信号を読み出した後に実行する。ソフトウェアビニングは、ハードウェアビニングより柔軟な運用が可能で、ハードウェアビニングが一般に方形の画素集合に限られるのに対し、ソフトウェアビニングは形状を限定されない合算が可能である。ビニングを実行する前に、画像の歪みなどを補正することもできる[5]。また、ハードウェアビニングでは、加算した電荷がシフトレジスタの容量を超えると飽和し、無意味なデータとなってしまうが、ソフトウェアビニングでは各画素において容量内であれば、それ以上の制限はない[4][5]。しかし、ソフトウェアビニングは一旦通常通りに読み出すので、読み出し雑音は全画素数の分加算されてしまい、ビニングを施しても合算する画素数の平方根でしか、SN比は向上しない(例えば、2×2画素のビニングであれば2倍)。また、読み出し回数が減らないので、高速化もできない[5]。