亀岳林 万松寺 稲荷堂

再建時より、新たな御神体として魔鏡をお祀りしています。
万松寺にお祀りされているお稲荷様は、皆様に白雪稲荷(はくせついなり)と呼ばれて
親しまれています。白雪稲荷の起源は古く、今より千年もの前に雪の様に白い狐が
お稲荷様となり、この地(現在の大須)にお祀りされたといわれています。慶長15年
(1610年)名古屋城の築城と城下町の構築を行うために万松寺が現在の大須の地に
移された際、移転先の小林城内にお祀りされていた白雪稲荷を譲り受け、万松寺の
鎮守としました。

白雪稲荷(吒枳尼真天)
はくせついなり(だきにしんてん)
白雪稲荷と万松寺

万松寺ではこのような伝説も伝えられています。

かつて万松寺が衰退して、財政が逼迫し、住職は支払いもできず非常に困っていま
した。この窮状を見かねた白雪稲荷が御小女郎(おこじょうろう)に化け、どこからか
お金を用立てして住職に与え、そのお金で万松寺は無事窮状を切り抜けることができ
ました。

後日、江戸吉原の経営者が遠路はるばる万松寺を訪ねて来ました。経営者は「新しく
雇った従業員がしばらく働いた後に姿を消しました。後日、その従業員が枕元に立ち
我は万松寺の稲荷だった≠ニ告げられました。しかもその頃から急に営業が好転し
たので、これも万松寺の稲荷様のおかげとお礼に参りました。」と話しました。

この話を聞いた住職は「さてはあのお金は白雪稲荷が稼いだものであったか」と納得し、
白雪稲荷に深く感謝しました。

後にこの話が世に広まり、商売繁盛、金運招福の祈願を目的とした多くの人々が万松寺
に訪れる様になりました。また、水商売関係者のお参りも多くなったといわれています。
この伝説から白雪稲荷は、別名御小女郎稲荷(おこじょうろういなり)とも称されています。