すると女性は、口をアナウンサーレッスン状態でいきなり僕の方に向かって来たのです。
その走り方がまた異様でした。片手に持ってる棒状の何かを僕の方に向けて、まるでフェンシングの構えで僕の方に向かってステップインしてくる感じでした。
一気に距離が詰まりました。彼女が近づいてきた時に改めて分かったのですが女性の身長は180後半はありました。僕の身長が185cmなので、しょっちゅう同じ位の身長の方と会うこともありませんので、自分と同じくらいもしくは僕より背の高い人が近くに来た時に感じる独特なプレッシャーみたいなものがあるんです。そしてその女性はほぼ間違いなく僕より背が高いというプレッシャーを受けました。

あと、赤黒いワンピースとハットはおそらくですが元々綺麗な真紅の服が汚れて赤黒くみえている様でした。袖に関しても半袖を着てたのではなく敗れて袖が無くなってるみたいでした。
僕はすぐさま振り返って逃げました。以後、もう彼女の方を見る事はありませんでした。
「あいつとの距離感確認してる暇があれば必死に走れ!」と本能が訴えてました。