しかし、やはり割り切れないものはある。
俺は鬱屈とした感情を抱えて自分のベッドに入った。
眠って、全部忘れてしまおうと思った。
だが、そんな時に限って妙に目が冴えて眠れない。
何度も寝返りを繰り返しているうちに、俺は自分以外誰もいない部屋に自分以外の人間の呼吸を感じた。
トットットッというハムスターみたいに弱い鼓動も聞こえた。ベタベタした嫌に湿った熱い息遣いが肌に触れていた。マットレスが、じんわりと誰かの体温であたたかかった。