俺は限界だった。
急に奇声をあげたり、突然泣き出したりする以外は特段何もしていないせいで、俺はおっさんに罵声の1つも浴びせることが出来なかった。
俺はこの頃、おっさんが誰か人を襲ってしまうことを期待し始めていた。
おっさんが俺の友人や家族に手をあげれば、俺にはおっさんを排除する大義名分ができて、俺はこの生活から抜け出すことが出来るのではないか。いっその事、人でも殺したりなんかしてくれたら、俺はなんの不純もない正しい動機を持ってこのおっさんを殺すことが出来るのかもしれない。このおっさんを思いっきり蹴りつけても許されるのかもしれない。