左目に急な痛みを覚えて目が覚めたら、タイル張りの部屋にいた。
灯りは部屋にただひとつの、簡素な洗面台の証明しか無くて、部屋は8畳くらいの広さ。壁も床もタイル張り。
何と無く違和感のある変な部屋だった。
ひたすら痛む左目が開かない。とりあえず起き上がって洗面台まで行き、鏡に映る自分の顔を見る。
左目の眼球に裁縫針が1本刺さってた。
ショックを抑えて、痛みを堪えながら抜いて、シンクに落とす。
チリン、と音を立ててポタポタ落ちる血で染まる白い陶器。
下を向いてそれを見つめると、また左目に新たな痛みが
鏡を見ると、針は2本に増えていた。
抜く、落とす、痛み、増える、抜く、落とす、痛み、増える
針が延々と増え続け、痛みに悶えながらひたすら泣くだけの作業に、気が遠くなって気づいた。
部屋に扉も窓も通気口も、およそ外部と繋がる場所が無かった。